☆クールジャパン

2014.10.27

 しかし今回は、溜息ばかりではなく収穫もあって救われた。それは、最近興味を持ち始めた明治期の輸出用七宝の名品にいくつか直に触れることができ、専門の業者から詳しい話を聞くことができたことだ。近年ようやく国内でも明治期の美術工芸が評価され始めているが、外貨を稼ぎ、近代国家建設に大いに貢献したその業績が、まだまだ正当な評価を受けていないことを、その人は「実に残念」と熱く語っていた。この明治の職人の超絶技巧もまた、その価値を、オールドノリタケと同じく、外国人によって教えられることになるのだろう。今頃“クールジャパン”などと言っているが、いつの世もこの国はそうなのだ。

 前回盛り上げ花瓶を買った店へ真っ先に視察に行くと、まず目に飛び込んできたのが写真の花瓶である。ドングリに蜂の巣盛り上げとは・・・。初めて目にする図柄の逸品にいきなり大興奮に陥り、この後もこの蜂の巣部分の泥漿の色具合のリアルさと、聞いた金額のゼロの数が頭から離れないまま、なんだか調子が出ないままで約束の集合時刻となってしまった。しかも、これも販売の当てがあるというから持たざる者には二重のショックである。まあ、せめてもの写真撮影が土産代わりとはなったが・・・。

 飽きもせず京都大アンテイークフェアに出掛けた。近頃は特に高額のものを買う(買える)わけでもないので、以前のように2,3日前に軍資金を準備するといった臨戦態勢を取ることもなく、ただ雰囲気を味わうのが主たる目的の、数名の養老親睦ツアーなのである。